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エチオピアの首都アディスアベバにて、理科教師として活動する青年海外協力隊員のブログです。

青年海外協力隊、派遣前訓練修了を迎えて

ついに70日間に及ぶ青年海外協力隊、派遣前訓練が修了し、晴れて訓練生から隊員になることができました。エチオピアに理科教師として派遣されます。  

 

 僕は自ら協力隊に応募したものの、いまいち踏ん切りがついていないことや、自分が世界に出て何が出来るのだろう、そして海外に行く前にもっと日本でやらなくちゃいけないことがあるのではないか、とずっと考えて過ごしてきました。派遣前訓練中もずっとその疑問と向き合いながら過ごしていました。そのため、スタッフ、訓練生、講座講師など、いろいろな人の話を聞きつつもどこか一歩外から見ていたと言うか、 懐疑的に見ていた節があったなあと思い返しています。協力隊に参加する理由というのは、本当にたくさんあります。その活動を全うすれば、いい加減な理由も崇高な理由もないと個人的には考えています。大事なのは参加した理由ではなく、途上国のために自分が何をやろうとしたか、何ができたか、だと思っています。  

 

 今日は訓練修了にあたって考えたことを書きます。僕は国際協力についてあまり興味がなかった人間ですが、協力隊を志してから自分なりに本を読んだりして勉強しました。特にNPO法人宇宙船地球号理事長 山本敏晴さんの著書は国際協力の初心者でも読みやすく、参考になりました。その山本さんの著書に何度も出てくる、僕の大好きな言葉があります。

「人に優しいことをすると、その人が他の人にも優しくしてくれて、やがて世界中に優しさが広がっていく」(山本敏晴)  

 僕ら青年海外協力隊の活動も似ていると思います。ボランティアの活動は何の意味もない、何も出来ない、税金の無駄遣い、という声を内外から聞きます。僕も一部ではそう思っていますし、訓練を終えて実感しましたが、おそらく僕たちが大きな仕事をすることは難しいでしょう。僕たちは大きく世界を変えることはできないと思います。おそらく同様の気持ちを持っている候補生も多くいたと思います。  

 しかし、たとえどんなに小さなことでも、どんなに些細な言葉でも、どんなに小さな技術でも僕たちが伝えることに、無意味なことはなに一つないと思っています。 そもそも文化も違う言葉も違う。だから、100%は伝わらなくとも、10でも1でも伝わったらそれで十分だと思います。 そうして伝えたことは確実に相手を変えて、同時に自分たちを変えて何らかの形で世界に広がっていく、そういうことを信じています。僕たちが国に対してではなく、現地の人たちに向けて行う「草の根レベルの活動」というのは、そういうものだろうと思います。  

 

 こういう気持ちを根底に持ちながらも、一方で現実的な問題(途上国での生活・活動、相手国に配慮した活動、安全・健康への問題)に対しても理解し、活動をしていかなくてはいけません。その現実的な部分に関して、特に安全・健康への対処は派遣前訓練を通して身につけることが出来たかと思います(座学の講座については正直言って物足りなかったですが)。タフなスケジュールだったし、それなりに苦労しました。僕にとっての派遣前訓練は、その現実的な問題への準備とちょっとした気持ちの整理の時間になったかと思います。いろいろと迷ったり、考えたりすることは多いですが、訓練修了から一晩たったいまは、穏やかな気持ちと決意を持つことが出来ています。

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